

スポーツの秋といいますが、腎臓病の患者さんにとって、運動は無縁のもの、と考えられがちです。
でも、本当にそうでしょうか?
今回は、保存期の患者さんと運動について考えてみましょう。
ほとんどの保存期の患者さんは、定期的に病院に通いながら、会社に行ったり、学校に通ったりとふつうの生活とつづけていることでしょう。しかし、「病気を悪化させたくない」「人工透析を受けるのは絶対に避けたい」という理由で、まったく身体を動かさず、自宅で一日中安静に過ごしている方もたくさんいます。
確かに、運動のしすぎは病気を悪化させるおそれがあります。健康な人でも、過激な運動によって急性腎不全を起こすことがあるくらいですから、腎臓病の人は、とくに注意しなければなりません。また、急性期の場合は安静が必要です。
しかし、極端に運動を制限すると、かえって体力を低下させてしまいます。何より、患者さん自身のQOL(Quality Of Life = 生活の質)を損なうことになるのです。
もちろん無理は禁物。ご自分の身体の状態を把握し、主治医とも相談しながら、適度に身体を動かすことが大切です。
では、「適度な運動」とは、どの程度のものでしょう。日本腎臓学会では、日常の生活の具体的な生活指導区分をAからEに分けた、ガイドラインを設けています。(表1)
また、この区分を慢性腎炎の進行程度や病状にあてはめた基準を示しています。(表2)
これは、すべての慢性腎疾患患者さんにあてはまるものとされているので、ぜひ参考にしてみてください。
とはいえ、運動の強さの感じ方は、人によって違います。目安としては、誰もが楽しくて気持ちよい、むしろ物足りないと不満が残る程度の運動がおすすめ。最初はラジオ体操程度から。長くても往復30分程度のウォーキングなどが適当でしょう。
病気を進行させたくないというお気持ちは理解できます。ただ、何もかも制限して後ろ向きの日々を過ごすことが、その方にとって心身ともに健康な生き方といえるかどうかは難しいところです。身体を動かすことは、人間にとってごく自然なこと。毎日の暮らしに、自分らしい運動のしかたを上手に取り入れていくことをおすすめします。
◆表1 慢性腎疾患の生活指導基準
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◆表2 成人の生活指導区分
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(腎疾患の生活指導/食事療法のガイドライン 日本腎臓学会編1998年)
監修:長崎大学医学部付属病院 第二内科 宮崎正信先生